Euro 2008 Final

BBCの試合前分析での両チーム不安要素は、スペインはセルヒオラモスがポドルスキ、ラームの攻撃に対処できるか、ドイツはメッツェルダーのポジショニングの悪さ。どちらもレアルのDFというのが何とも。
バラックは右ふくらはぎを傷めて欠場という噂もありながら、結局は先発に名前を連ねていますね。情報操作しようとしたなら、小汚い。っていうか、ちっちぇえ。スペインはビジャが怪我で欠場。強力2トップが欠けて、トーレスの1トップに。
同じ4-5(2-3)-1なら、スペインの方が有利という見方が多数派で、自分も同じく、そうであってほしいと願っています。ドイツはバラックフリングスの縦の入れ替わりやスペースへの飛び出しが有効で、スペインは中盤もFWもあえて挙げるまでもないという解説陣泣かせの状態。
解説と言えばデサイーのピッチサイド解説。試合前は選手並みに興奮して語っておりました。「わかるかい?この決勝舞台は本当に特別なんだ!ここでスーパーヒーローになれるかもしれないんだ!」・・・いいなぁ、冷静な解説が多い中で、この熱い解説!

スペイン 1-0 ドイツ

というわけでスペインが優勝。スコア的には接戦に見えるものの、内容もスペインの完勝。最初の20分はドイツのプレスもあって、それほどパス回しが前線まで届かなかったスペインがわずかなきっかけから怒濤の攻めに。ペースの切り替えが試合全体という意味でも、普段のパス回しからの急展開という意味でも、相手を置き去りにするスペイン。
得点はシャビのパスから、トーレス。ラームに内側に体を入れられながらも外側から体を入れ替え、ワンタッチで軽く浮かせてのシュート。ほんと一瞬。Faster! Stronger! Lighter!とBBCアナウンサーも賞賛の絶叫。ビジャがいなくても、全く違和感なく1トップのサッカーができるあたりもすごいけど、スピード、体の強さ、俊敏さに対してドイツのDF4人が何もできず。
ドイツは攻め手、決め手がほぼなく、後半にはラームを交代。怪我なら仕方ないけど、とても戦略的には見えず、これで左サイドからの攻めも少なくなり、さらに決定機が減ったように感じました。この左サイドは試合前分析から指摘されていたようにセルヒオラモスの対応が問われるところで、前半20分はドイツにしてやられていて、プジョルが中央からサイドに引き出されていました。ラームが抜けた後半はそんなシーンもなくなり、この交代の意義がわかりませんでしたね。
同じく、今大会ほとんど出番のなかったクラニーの投入、クローゼに代えての不調ゴメスの投入も焼け石に水の感あり。高さを生かしたかったのかもしれないですが、ノイビルとかオドンコルみたいなのに仕掛けられる方がスペインは嫌だったのではないかと思います。
スペインはシルバ、ファブレガスが決定機にあまり絡めず。不調という感じはしないけれども、少し硬くなっていた様子。シャビ、セナ、イニエスタは圧倒的に冷静、最高のプレイを見せていたと思います。シャビ、イニエスタは本当によくスペースを見つけるなと惚れ惚れしますが、そこを同じタイミングで見つけるFW陣もすごい。ダラダラと見えるパス回しの合間に仕掛けている動きでDF陣を引き出しているのだけど、その方程式を知りたいところ。

Euro 2008を振り返って

  • BBC/ITVの解説
    • 大会と関係ないですが、ハーフタイムや試合直後のレビューが早くて、シュートシーン以外での試合のポイントをすぐに複数の角度からの映像で振り返ってくれるのがありがたいです。その際のリネカー、シアラーをはじめとした解説陣の説明も的確。
  • uefa.com
    • UEFAのホームページでのデータ開示も非常に興味深い。選手の走行距離やプレイエリアがほぼリアルタイムでわかるし、パス精度(成功率)も随時掲載されるので、画面からの印象だけでは勘違いしそうな試合の流れが掴めるのが面白い。もちろん、知らない選手をすぐに調べられるのも大きいです。
  • 新興国
    • トルコ
      • 前回のギリシャはガチで守ってカウンターにかけるサッカーを徹底して優勝までこぎつけた印象があったものの、今回はそういったチームは見られず。トルコは特にこれといった特徴もないながら、執念で準決勝まで這い上がったチーム。選手が入れ替わってもリズムを崩さず、情熱的なサッカーができるのは国民性か?トルコはガラタサライ、フェネルパフチェといったチームがチャンピオンズリーグの常連としてそこそこの成果も上げてきているので、全体的な実力も上がっているのかもしれないですね。
    • ロシア
      • 予選初戦のときは平均年齢が大会最年少というのがうなずけるほど、後手に回るサッカーをしていたように見えたものの、その後のギリシャ戦、スウェーデン戦でヒディングサッカーが炸裂。一気に決勝まで進み、疲れきったオランダを粉砕。ロシアがすごいのか、ヒディングがすごいのか、というと微妙で、ヒディングのサッカーに必要な体力を備えたロシアがすごい、というのが個人的な印象。思えば、過去の韓国、オーストラリアと同じで、スピード、尋常じゃない体力、高さを持ってして、ツータッチ以内でのパス回し、ロングボールからの幅広いサイド活用と素早いセンタリングで相手の不意をつくようなスタイルを継承していた感じ。気になるのは、その後の韓国、オーストラリアが国際大会で目立たない点。ロシアはUEFAカップでサンクトペテルスブルグが優勝するなど、徐々にクラブチームの国際試合での活躍が見られるようになったので、地盤としてはできてきているのかな。
  • 体調

ロシアに負けたオランダ、ファンバステン監督は試合前にコンディションについて「主要リーグは6月に終わったばかり、ロシアリーグは4月に開幕したばかりで体調が全然違うはず」と漏らしていたようなので、そういった意味ではチャンピオンズリーグまで参加している選手は相当きつかったのかも。

個人的には、

って感じかねぇ。ロシアのFWアルシャフィン、ドイツのポドルスキも捨てがたいけれど。