ライブレポート:Ronnie Wood at the Ambassadors Theatre, 19 Oct 2010 (early show)

相変わらずの情報収集の悪さから完璧に見落としていたライブ。本当に情けないと言うか、ライブの存在に気づいたのが前日。知った時には何とも虚脱感に。さらに当日は既に別件を入れてしまっていて身動きも取れず、負け犬気分に。。。
という状態だったものの、なんと急な事態で当日予定がキャンセルに!そして慌ててオンラインでチケットを検索。これが16時。後からわかったのですが、直前になって追加チケットが販売された模様で、何と前から5列目がずらーっと空いているじゃないですか!!(これは前半の部のみ。後半の部は既に売り切れ)
こ、これが奇跡というやつか!と興奮しつつ、価格を見ると、ひゃ、ひゃ、150ポンド(130円換算でも約2万円)?!
た、た、た、高すぎる。。。しかし、ブートを買うときと同じ、後悔先に立たず、迷ったら買え、の原則通り(?)、勇気を出してクリック。窓口受け取りということで、18時にさっさと会社を出て家にレコーダーを取りに戻り、冷静に乾電池を新品に入れ替えて、いざ出陣。



iPhoneのおかげでライブ会場まで地下鉄も徒歩も最短距離で到着。今回のライブ会場はパーカッションのパフォーマンスで知られるSTOMPを公演している劇場で、普段もよく見かける広告がここにも。
会場前にはコアな人だかりが!ジェフベック先生のライブの時と同じ50歳〜60歳代と思われるファンが目立つものの、革ジャン率が異様に高い!ちょい悪っぽくて、かっこいい!しかも、ストーンズグッズを身につけている率も高い!周りを見てテンションがあがるなんて楽しすぎ!
この人だかりの中で開場を待っていたら、何人かファンからチケット余ってないか、尋ねられました。いかに自分がラッキーだったかを少しずつ感じ始めました。



せまーい入り口から、せまーい階段を下りて、地下ストール席入り口から入場。新作"I Feel Like Playing"のプロモを兼ねてのライブということで、アルバムジャケットのデザインの大きな垂れ幕が舞台に掲げられていました。ちなみに、私は日本盤を取り寄せ中で、未だに手元に届いていないので、アルバムより先にライブで聴くという事態。プロモライブということであれば、そういう客を相手にすることも想定してますよね、と自分に言い聞かせつつ、少し肩身は狭い気分に。




これが会場の客席の様子。とても小さな芝居小屋で、Wikipedia情報では、客席はたったの195席なのだとか。自分の中でプレミアム感が高まります。私の席は縞のTシャツのおじさんの隣でしたが、このおじさんから見たら、私など若僧なわけで、「今日はすんごいスペシャルなライブなんだぜ!」「ライブ、初めてか?」などと語りかけてくれました。ロニーのソロは初めてだけど、日本でストーンズは見てましたよ!と答えたら、「OK!」とw。周りには欧州各国から駆けつけたコアなファンもいたようで、「俺はドイツから来た!」、「あっちにはフランスから来たっていうのもいたぜ」なんていう会話もちらほら聞こえました。日本人は3組くらい見かけました。


そして、垂れ幕が上がって、Chris Nothによる紹介に続いて、おもむろにロニーとバンドメンバーが登場!

演奏を始める前に、まずはMC。想定外だったものの、かっこよく演奏を始めるいつもの大きなショーとは違って、何とも気さくな雰囲気が漂いますね。ロニーのMCも楽しい!


1. Thing About You
Chris Nothが「ニューアルバムから8-9曲やる予定らしいよ」と言っていたとおり、さっそく新曲。でも、一回きりのライブでもあるし、プロモでもあるし、自信もあったのでしょう、手探りなんて様子はなく、楽しそうに演奏しはじめ、観客もさっそく総立ちになりました。この曲ではギターは、金色のMusicman Silhouette。マイクスタンドで隠れてしまいましたが、ここで注目すべきはマイクスタンドにあるドリンクがコカコーラである点!!ビールとかアルコール類ではなかったですw


2. 100%
ここでは黒く丸いボディのエレクトリックシタールに持ち替えています。このモデルはダンエレクトロ?ジェリージョーンズ ベイビーシタール?不勉強で申し訳ないですが、昨今のストーンズでのJJFなどで使っていたような、あの音ですね。
それにしても、このライブ、音響がすごい!かつて経験したことの無いくらいの大音量で、ド迫力です。こんな200人足らずの小さな会場だったら、アンプの音とかドラムの金属系の音は舞台から直接聞こえたりするものですが、すべてPAのスピーカー経由で爆音でした。バスドラとか、胸を軽く張り手されているかのような衝撃波に感じましたよ。


3. Why You Wanna Go And Do A Thing Like That (w/ Kelly Jones)
最初のゲスト、Kelly Jonesがアコギを抱えて登場。私は初めまして(つくづく不勉強で恐縮!)。革ジャンを着込んで、その辺の通りから歩いて来たかのような出で立ち。
この曲では、ロニーはテレキャスター風ボディのESPシグニチャモデルに持ち替えています。ちなみに持ち替えるたびに、スタッフがシールドの抜き差しを行うのですが、ロニーがじっとしないから大変そうでしたw


4. Lucky Man
5. I Gotta See
ここでは2トーン・サンバースト、メイプルネックのストラトに持ち替え。この外見のストラトはPlayer誌(09年1月号)によると3本は所有しているようで、今回のライブではそのうちの2本を使っていました。指板の汚れ方が唯一の見分けポイントで、ライブ会場で爆音で聞いている限りは、あまり違いがわかりませんでした。。




6. Spoonful (w/STOMP)
MCでバンド紹介に続くこの曲では、この劇場で公演を続けているSTOMPのパーカッションパフォーマー総勢11人が参加!ポスターで書かれていたSpecial Guestというのは、きっとこのことだったのでしょうね。舞台の壁中にセットされていたバケツやパイプ、鍋やフライパンなどが楽器となっていて、息ぴったりのパーカッションで曲を盛り立てます。ロッククライマーのように壁からぶら下がってのパフォーマンスも含めて、これは圧巻でした!

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7. Sweetness My Weakness
緩いビートが心地よいレゲエ。Beverley KnightとMica Parisの二人がバックボーカルで加わっています。ベースの音量が上がり、ものすごいバイブレーションw
これまた不勉強ですが、ロニーの息子のJesse Woodが弾いているなんて想像だにしていませんでした。その昔の大阪ドームでキースの"You Don't Have To Mean It"のバックでLeah Woodが唄っていたのは覚えているのだけど。。。それにしても、名プレーヤーAndy Newmarkとも噛み合って、いいグルーブを出していますね。


8. Forever
ソウルフルな曲ではBernardのボーカルが一段と冴えますね。バックの女性ボーカル二人もはまり役でうまく盛り上げてくれました。


9. Tell Me Something
曲名にひっかけて”Tell Me Something!”と振ったところ、意地悪な観客から”Josephine”を3回リクエストされても平然と流したロニー。反応したら負け、って思ったんだろうか。。。語呂合わせや掛詞、皮肉が好きな(得意な?)イギリスならではの瞬間でした。


10. Fancy Pants (w/STOMP)

この私の左斜め前の席にいたおじさん、Voodooでのミックの格好をしているのですが、この羽根つき帽子が何とライト付きで光るのです!係員からライブ中はライトをつけないように指導されていましたが、曲間にはちゃっかりつけていて、ロニーもステージから見て気に入っていた様子。Tell Me Somethingの後にライトをつけていなかったため、ロニーが"What happened to your light? Come on, men!!"とライトをつけさせていますw (この写真は上にも掲載したライブ前の会場風景から切り出したもの。)
Fancy Pantsでは、ロニーがハーモニカも吹いており、これが渋い!かき鳴らすストラトの音もロニーらしさ満点ですね。


11. Debris (w/Kelly Jones)
ここでギターをついにZemaitis "Stay With Me"に持ち替え!Kelly Jonesがボーカルとして再びステージに現れ、フェイセズの名曲を味わい深く唄い、自分も周りの観客もうっとり。緩く細めの音で絡んでくるハモンドオルガンの音が哀愁を誘い、あのフェイセズの音が再現されているかのような、最高のテイクでした。息子のJesseがその音作りに加わっているなんてことを考えると、何とも感慨深い気分にもなります。


12. Night Time Is The Right Time
"Forever"の時と同じく、ボーカル陣が見事にはまってますね。Beverley Knightもソロパートで持ち味を出している感じでした。これらのソウルフルな曲は、黒人シンガー3人というのもありますが、Andy Newmarkのドラムのグルーブ感にも寄るところ大ですね。


13. Jamming with STOMP
このライブの最大の見所であったのが、この曲。曲と言っても、3度目の登場となるSTOMPの11人のパーカッションとロニーのスライドギターが絡み続けるジャム。もう何も言わずともロニーらしいスライドです!もちろんギターはZemaitis。Train Kept A Rolling, Gasoline Alley, Prodigal Sonなどのフレーズを交えながら、パーカッションとのセッションを楽しんでいました。


14. Stay With Me
素晴らしいジャムで盛り上がったところに間髪入れずに、みんな大好き"Stay With Me"!!
なんと演出がうまくなったんでしょうw
PAの音量もさらに馬鹿でかくなり、せっかくの録音は低音域でビリビリどころか、バスドラのビートにマイクを破壊されているかのような厳しい録音状態に。。。


(encore)
15. Jumpin' Jack Flash
イギリスでは珍しい「オーレーオレオレー!」の合唱が2階席から聞こえるw スペインあたりからの遠征組か?!
ロニーがストラトを持ち出していたので何が出るか楽しみでした。一瞬、Street Fighting Manが始まるのかと思いきや、JJFでしたねw この大切なアンコールでの名曲で、BernardとともにMica Parisという女性が唄うわけですが、正直残念なパフォーマンス。。。一番盛り上げるべき3番のサビの直前パートでBernardからバトンを受けながら、ワンフレーズで止めてしまうなど、雄叫び以外に目立ったところもないシンガーでした。
最後の破裂音は巨大クラッカー!小さな会場いっぱいにリボンと紙吹雪が飛び散り、予想外の華やかなエンディングでしたよ。


[Set List]
1. Thing About You
2. 100%
3. Why You Wanna Go And Do A Thing Like That (w/ Kelly Jones)
4. Lucky Man
5. I Gotta See
6. Spoonful (w/STOMP)
7. Sweetness My Weakness
8. Forever
9. Tell Me Something
10. Fancy Pants (w/STOMP)
11. Debris (w/Kelly Jones)
12. Night Time Is The Right Time
13. Jamming with STOMP
14. Stay With Me
(encore)
15. Jumpin' Jack Flash


[Band Member]
Ronnie Wood on guitar, vocal and harmonica
Bernard Fowler on vocal and percussion
Andy Newmark on drums
Jesse Wood on bass
Andy Wallace on keyboard
Adam Greene on guitar
Beverley Knight, Mica Paris on backing vocals
Kelly Jones on vocal and guitar


[Download]
https://files.me.com/mickmori/glo8fi.mp3
というわけで、上記でも少し触れましたが、想像以上の爆音でのライブだったため、一部低音域で音割れが生じました。Zoom H4nを使っているのですが、入力レベル"30"まで絞っても厳しかったですね。録音中にレベル合わせしなきゃいけないのでしょうけど、最近は本体搭載マイクで録音しているので、本体に少し触れるだけでもかなり大きなノイズになってしまうので、録音開始したら何もせず祈るだけにしていますw iTunesでのイコライジングで調整し、低音を大きくカットして、聞ける音にはしていますので、どうぞお楽しみを!


[その他情報]

http://en.wikipedia.org/wiki/Stomp_(dance_troupe)
(ひえぇ、、先日行ったばかりのBrightonが発祥でしたか!)

https://www.theambassadorstheatre.co.uk
http://en.wikipedia.org/wiki/Ambassadors_Theatre
1913年建造ってことで、もうすぐ100周年ですね。


最後に今回ロニーが使っていたアンプ。Fender Vibro Kingでした。Twinを少しマイルドにした感じ、という表現であってますでしょうか?