ライブレポート:STEPHEN DALE PETIT & HIS BAND FEATURING SPECIAL GUESTS RONNIE WOOD & MICK TAYLOR @ London 100 Club on Wed 1st Dec, 2010

11月後半から寒波到来で最低気温が0度を下回り、小雪の舞う12月のロンドン。10月にStones Collectorsさんのニュース(http://www.stonescollectors.com/blog/item_3055.html#item)で知って即行で飛びついてチケット購入した表題のライブに行ってきました。
19:30オープンということで、30−40分前に行けば何とかなるかと思って会社を脱出し、雪に滑りながらも早足で歩いて100 Clubへ。ちなみに、100 Clubは住所が100 Oxford Streetだから、100なんですね。以前から何度となく前を通り過ぎていたものの、実際に入るのは今日が初めて。



到着すると、すでに行列!やっぱストーンズファンは熱さが違う!既に50人くらいは並んでいました。オールスタンディングの小さなライブハウスなので、今日は中〜後方でおとなしく見ることになるのか。。。列に並んで見ると、50−60代と思われるベテランファンが多く、雰囲気は和やか。後ろのおっちゃんは、「一度18:00に来たけど、まだ開いてなかったからパブで飲んでたら、こんな行列になっちまった!」なんて赤ら顔で話してる。その後ろの人はポーランドから見に来たとか。寒い中、「ミックとかキースとか来ないかなー!」「クラプトンとかいいねぇ」なんて感じで、みんなで期待を盛り上げながら入場。


チケットはなく、ウェブ画面のプリントを持っていくだけ。身分証明書も持参するように書かれていたものの、特にチェックもなし。カメラ、レコーダーなどの荷物チェックも無し!そして、チケット代わりに手にスタンプを押されるのですが、その窓口に非情の一言が!

"No Mick or Keef"。。。うむむ、そんな最初から盛り下げなくてもいいじゃない。。。


場所取りなんて諦めていたから、コートをクロークに預けたりしながら、ゆっくりと中に入ると、ステージ前よりビール売り場のカウンターの方が混んでいる!さすが英国!みんな、何のために列に並んでいたのか?!そんなわけで、最前列のかぶりつきは屈強なファンに抑えられていたものの、するすると中央近辺まで入り込み、ど真ん中の柱の前をゲット。そう、柱の前。


(写真はライブ後の風景)驚くことにこの100 Club、ボーカルの立つステージ中央のド真ん前に柱が立っているのです!この柱より後ろだと、いずれかの角度でブラインドができるわけで、今回は最前列ではないものの、最高と言えるポジション!


入場してから約1時間経過した20:30を過ぎたあたりで、数名のカメラマンがステージ近辺を陣取り始め、ビデオのシューティングテストを開始。いずれ、映像作品で公式に出てきてくれるのかな。
そして、Stephen Dale Petitがステージに。どうやら、まずは彼のバンドで前半を取り仕切る模様。Spotifyで少し聴いたりもしましたが、とてもいい感じのブルースロックですね。奇をてらったことをせず、正統派のブルースギタリストだと感じました。あと、名前を覚えられませんでしたが、ベースが何ともファンキーでいいグルーブを醸し出していました。


40分足らずのステージが終わって、1時間程度のブレイクの後、再びStephenがステージに上がり、バンドを紹介。前半とドラム、ベースは入れ替わっており、ベースは何とローリングストーンズ設立時のメンバーであるDick Taylor!少し前にBBCの映像で見ましたが、覇気のないおっさん程度に思っていましたが、ステージに立つと貫禄があるように見えてくるのが不思議w
そして、待っておりました、Mick Taylor!!もう何ともぽっちゃりのおじさんになってしまいましたね。健康問題も心配されていましたが、元気にステージにあがってくれました。


リラックスした雰囲気の中で、後半スタート。この時点ではまだロニーは出ていないです。


1曲目からMick Taylorのギターソロあり!あの艶かしいペンタトニックフレーズが目の前で!!この構え、この構えなんですよね!


言うまでもなく、私はDick Taylorのプレイなんて初めて見聴きしたわけですが、何とも力強い!ビル・ワイマン的なドライブ感もあれば、ロニーのベースみたいな躍動感もあって、聴き応えのあるベースでした。普段は何してるんだろう・・・、この腕前はやはり現役ミュージシャンなのかな?伝説だけじゃない、凄さがありましたよ。


今回のもう一つの目玉(?)がトロンボーンで参加のChris Barber。なんかもう呼び捨てにするのも気が引ける大ベテランのおじいちゃん。相変わらず私は知らなかったのですが、調べてみると、現在80歳のジャズミュージシャンとのこと。大御所がライブに出られること自体、すでにレアになっているようで、まさに伝説のミュージシャン。
http://chrisbarber.net/


3曲目には"You Shook Me"で、Mick Taylorがボーカルとスライドギターを披露。大きなビブラートのスライドは今も健在、独特の甘さを感じるあのフレーズは、トレードマークとも言えますね。フィードバック奏法も交えたり、ボーカルメロディとギターフレーズをシンクロさせたり、さすがのプレイで震えました!


6曲目からついにRonnie Wood登場!
まずはMick Taylorと握手と抱擁を感動的に交わした後、既に用意されていた2トーンのサンバースト54年ストラトを手に。アンプは57年Fender Deluxeでしょうかね。


そして、ロニーの新アルバムからFancy Pantsを。この一晩限りのバンドなのに、新しいソロアルバムからの曲というのが、何とも楽しい。


ギターソロの時はもうこの通り撮影大会!私も腕を一杯に伸ばして、できるだけ高い位置から頑張りましたよw 後ろは柱だから遠慮なく背伸びも!
それにしても、設立時メンバー、2代目&3代目ギタリストというローリングストーンズ歴代メンバーが並ぶなんて、夢のようでした。


続いて同じく"I Feel Like Playing"から、”ファンキーバージョン”の"Spoonful"。
カッティングでのストラトフェンダーアンプのサウンドが溜まりません!サウンドチェックの時も思ったのですが、ヴィンテージギターの音の良さったら無いですね。音が透き通ってる。


もう言葉も要らないツーショット。。。


テイラーさんのギターはGibson Les Paulモデルですが、ビグスビーのトレモロユニットが装着されていました。カスタムモデルかな?ギターテクニシャンは日本人の方でした。


続いて、開演前から足下に置かれたセットリストを見た最前列のファンが狂喜していてお待ちかねだった"Stop Breaking Down"!ボーカルはテイラーさん!渋いよ!
ちょっとクラプトンっぽくも聴こえるなぁなんて思ってたら、Crossroadとか唄い出して、楽しいセッションになりました。Chris Barber氏もところどころ絡んできますよ。


周りも人達もずっとデジカメを構えていたのですが、目の前2mのところに実物のロニーがいるのに、デジカメの画面ばかり見ているのは少しバカバカしいと思い、ちゃんと自分の目に焼き付けようと撮影を控えめにしました。と思ったら、"Stop Breaking Down"の後は2曲で終わっちゃいましたけどね。。他の写真はFlickrにもありますので、興味があればご覧ください(全45枚)。
http://www.flickr.com/photos/58422470@N00/sets/72157625411674177/


さて、小さなライブハウスでどうなることかと思った録音ですが、まずまずの良音で録れました。オールスタンディングなので、ある程度堂々と(?)サウンドレベルのチェックができたので、大音響の中でも音割れは起こさずに済みました。その代償というべきか、低音を少しカットしたので、やや痩せた音になってしまいましたが、ドラムやベースのフレーズは綺麗に聴けるかと思います。
https://files.me.com/mickmori/vnwgzl.mp3
今回はアンコールがなかったのが残念。この録音の最後の7分くらいは我々観客が懇願するようにコールしていた模様をそのまま残していますw いや、みんなで頑張って、”MORE〜!”、"We Want More!!"なんて叫んでいたんですけどね。BGMがかかっても決して諦めない最前列近辺の熱いファンの様子をお楽しみください(笑)。


そんなわけで、私ももう少し余韻に浸りたく、ステージ脇のバーでビールを買って飲みながら、100 Clubの様子を見学。
撮影したデータを編集して送信しているカメラマンさん。この人、おデブさんで3人分くらいの場所を占めてたなぁ。でも、カメラが安定する分、いいショットが撮れるんだろうなー。


Stephenのギター3本。終わった後もステージに置きっぱなしで不用心だことw


壁中に歴史を語る写真がずらり。ここだけでなく、会場中に飾られていました。


ストーンズの出演風景をプリントしたTシャツも。


明るくなったクラブ内の様子。左側が飲み物のカウンターになっています。


帰りに撮った入り口の写真。ほんと、普通の雑居ビルの地下で、渋谷とか池袋にありそうなライブハウスです。


この100 Clubが存続の危機にあり、現在キャンペーンで救済を呼びかけています。
http://www.savethe100club.co.uk/campaign.html
http://www.savethe100club.co.uk/needyourlovesobad.html
ちなみにこの日のチケット代は、たったの35ポンド。今のレートで5,000円程度。これでも100 Clubのライブにしては高い方のようです。今の時代、もう少しチケット代が高くてもいいような気もしますが、都会のど真ん中にありながら、この良心的な価格、アーティストとオーディエンスの一体感などが愛される所以なんでしょうね。終わった後にビールを飲みながら撮影をしていたら、「どんなの撮れた?」なんて感じで話しかけられて、お互いデジカメを見せあいっこしたり、客同士もフレンドリーになる独特の雰囲気がありました。と思ったら、ドラムの人が普通に後ろで飲んでたりもして、大物は別としても、普段はもっと打ち解けた空間になっているのだろうなと想像しました。