火事

穏やかな午後、消防車のサイレンが集まってきました。
「煙出てるよ!」
派遣の女性の誰に言ったわけでもない、でも皆に聞こえ渡る声で言った一言で、オフィスが騒然。
「あっちのほう!あっちのほう!」
野次馬が群生。
「ほんとだ!ほんとだ!」
こういうときの人々の口から出る言葉ってのは、犯意のない煽動みたいなもので、まったく意味を持たないのにどんどん人を動かします。こともあろうに、専務と本部長の二人が率先して窓にかぶりついておりましたよ。
んー、さてさて、火事は一体どこじゃ。と席から遠目に見てみると、おやおや、、、うちのほうじゃないですか!

去年も火事はあったけれど、今回は消防車の数が10台以上だし、救急車もじゃんじゃん来ていて、だいたいオフィスでも煙の臭いがしてくるくらいだから規模が大きい模様。よく見ると、うちのマンション前の歩道は黄色いテープで封鎖されていました。
まぁ、みなさん、心配してくださってか、面白がってか、「家は大丈夫?」なんて聞いてきたわけですが、なす術があるわけもなく、私は淡々と仕事をさせていただいておりましたよ。しかし、モノは多いものの、どうしてもなければ死んでしまうものなんて実は少ないわけで、この部屋が焼けてなくなっても、住もうと思えば私は会社にでも住んでくらせそうですね。