ノッティングヒルの黒人

某映画の邦題と語呂をあわせて、あえて「くろびと」と読んでくださった方々、ありがとうございます。そんな人はいないでしょうけど。
いろいろな方面からNottinghill Carnivalというでかい祭りがあると聞いてはいましたが、まぁ、想像を絶する規模でした。規模感っていうより、中身の濃さっていうか。想像を絶するとかいう以前に、想像自体がミスリードされていたという気がします。
そもそも地下鉄の案内で見たのは、こんなさわやかなイメージ。

そして、現場で見たものは、、、


。。。テロですか?暴動ですか?住宅地の中です、ここ。
いちおう催涙ガスの煙ではなく、屋台の煙なんですけどね。
頭の中にはRolling StonesのStreet Fighting Manが流れます。






そんなわけで、Nottinghill Carnivalというのは、おおよそ2km四方を無法地帯、、もといダンス天国にしてしまうイベントなのでした。ダンス天国と言うと「カーニバル」という語感から若干離れるわけですが、このイベントには二つの顔があるようで、一つはカリビアン系、サンバ系の団体のパレード。これは周回コースが決まっていて、音楽を鳴らすトラックの後ろに衣装で着飾った女性たちが踊りながら練り歩く、テレビで見るリオのカーニバル的なやつ。ここに一緒に歩いて着いていくのが、おそらくは一般的な楽しみ方。



もう一つは、ストリートがダンス会場になってしまっているもの。住宅地なので、いくつも路地が分かれているのですが、その路地ごとにDJ達が待ち構えており、冷蔵庫4個分くらいの巨大スピーカーから爆音x重低音を鳴らしまくっているのです。クラブどころではない凄まじい重低音のおかげで、時折耳垢がボロボロと落ちてきましたよ、ほんと。
根拠ない想像ですが、8割以上の人々はこれを楽しんでいるのだろうと直感的に思いました。なぜなら、パレードの外周部分はカメラを持った外国人が多いのですが、この路地系でも濃いところはほぼ黒人ばかりで狂乱しているわけで、この人達のために行われているイベントと解釈するのが普通なのだろうと思ったからです。黒人と言っても、どうやら歴史的にカリブ系がこの周辺には多いようで、オリンピックの影響か、ジャマイカ国旗が目立っておりました。
そして、いくつか通り抜けてみたのですが、この写真の路地が大変で、50mくらいを抜けるのに10分くらいかかりました。っていうか、抜けるための通りではないので、ダンス会場を横切ったというのが自然な表現なのですが、曲がかかっている間は満員電車に近い状況で、しかもDJが煽るたびに全員が飛び跳ねるわけです。その度にものすごく圧迫されます。将棋倒しになってもおかしくないのですが、やっぱこの方々は足腰が違うんですかね、押されても押し返すくらいのバネがありました。女の子4−5人にぎゅうぎゅう詰めにされながら、さらにそいつらが飛び跳ねておっぱいやらお尻やらに逆にもまれるなんていう状況は嬉しいんだか苦しいんだか。。。
ちなみにこのカーニバルの重低音ですが、2km離れた我が家にまで響いてきていました。



そんな状況でも幸いスリには遭いませんでしたが、すられてもおかしくない状況だし、路地裏とかに連れ込まれてボコられても誰にも気づいてもらえないだろうな、とも思いました。とりあえず、街の中は相当な数の警官、騎馬隊が警備しており、不審者は徹底的に取り調べを受け、ナイフなんて持っている人は逮捕されたりした模様です(←なんでそんな奴が来るのか...)。
通りをコントロールするため、時々騎馬隊が道を封鎖するのですが、統率していたのが女性警官。封鎖された際に、その警官に暴言を吐きまくった黒人がいたのですが、女性警官はむしろ挑発する感じで「かかってこい」と人差し指でちょいちょいと招いているのが印象的でした。あ、怖い意味で。
そういや、重低音とか笛の音とか、大量の人とか、そういうのに全く動じない騎馬隊の馬ってすごいですね。以前、首相官邸近くの衛兵交代式のところで、タバコを持った手で馬を撫でている馬鹿な女がいたのですが、あの時も微動だにせず、感服した記憶があります。でも、騎兵のコントロール一つで暴れ馬となって民衆を制圧するんだろうな、黒王号みたいに。


それにしても、当初、この辺の物件を紹介してきそうになった不動産屋を思い出し、今度会ったら何となくブン殴りたいなと思いました。